お料理活用術
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  • 天ぷら店が選ぶ油
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天ぷらは素材の甘みやうまみを引きだし、また同時に油のうまみを素材に移す調理法。油の持つ風味や香りも大切なのです。また、もっと天ぷらを気軽に楽しんでいただけるように、天ぷらの歴史、調理ウンチク、マナーなどをご紹介します。

油の力でおいしくする

油は衣に、そして素材に香りやうまみを移す「調味料」でもあります。天ぷら店では最上の油として愛用されている揚げ油が太白胡麻油、太香胡麻油です。

ごま油の特性は加熱による劣化(油くさくなったり、胸焼けすること)がとても少なく、コレステロールゼロの油です。

  • 太白胡麻油

    太白胡麻油

    サラッとした軽い揚げあがりが最高で、時間がたっても衣がなえにくく、油っぽくなりにくいので天ぷら店でも愛用されています。

  • 太香胡麻油

    太香胡麻油

    素材に香ばしい香りをつけたいときは、茶色く焙煎した太香胡麻油がおすすめです。

ごま油は酸化が少ないので、揚げものにも2〜3回くり返し使え、そのあともさらに炒め物などに使えます。また、開封前・後ともに、一般的なサラダ油に比べて日もちします。

揚げあがりの見方

合図は軽いプチプチという音です。材料や衣には水分が含まれているので、はじめはパチパチという音とともに泡がたくさんでてきますが、この泡が小さくなれば、揚げあがりの目安です。菜箸で持ち上げてはじめと比べてみてください。水分が飛んで、軽くすっと持ち上がるはずです。

油の温度の見分け方

油の温度は、衣をほんの少し油に落として確認します。

*温度が上がりすぎてしまったときは、火をとめて少し待って調節します。

天ぷら店が選ぶ油
当代切っての天ぷら職人、深町正男さん。18歳で御茶ノ水「山の上ホテル」に入社。同ホテルはいわずもがな、江戸前天ぷらの一系譜を築く名門天ぷら店を擁しており、深町さんも6代目料理長を務めた。山の上とともに送った歳月は34年と10ヵ月。53歳で満を持して、京橋に「てんぷら深町」を独立開業したのが2002年1月のことである。
いま現在の深町さんの天ぷらの身上は何か? それは「軽さ」だという。
「銀座に近い場所がら、女性や年配のお客様も多くなるだろうと予想してました。だから、とにかく軽く揚げようと。揚げ油はブレンドなし、太白胡麻油のみにしました」
揚げ鍋の中では、光り輝く太白胡麻油でねたが躍るように揚げられている。だが、揚げるにつれ、油自体が次第に色づいてくる。この色が変わりはじめる寸前、深町さんは鍋ごとすっかり新しい太白胡麻油に入れかえる。お客が「こんなにどんどん油をかえるの?」と驚いてたずねるほど、まめにさしかえている。
「色づいてきたら、それはもう油が疲れはじめている証拠です。ねたを入れると泡がバババッと勢いよく立ったり、衣がはじけるように散るようじゃ、もう疲れてる状態。私たちは『コシがなくなる』といいますが、要は油に力がなくなるんです。最大の火力で高温に上げようとしても、新しい油なら15秒で上がるのに、古い油は30秒以上かかります。これじゃ揚がりがわるくなるし、仕事も進みません。ねたを入れても油温が下がらず維持できるような力を油自体がもっていなくては、いい天ぷらは揚がらないのです」
油というのは不思議なもので、徐々には劣化せず、ある時点でガクッと落ちるのだという。この境界線の一歩手前で油を入れかえるために、深町さんは常に鍋の中の油の状態に細心の注意を払っているのだ。
「いい油だと、よく揚がる」
深町さんの言葉である。これは『いい油』を、『いい状態』で使うことを指している。徹底する心掛けと、見極める技量の両方がなくては生まれない、深町さんの軽い天ぷら。心地よい食後感を得られる理由だ。
「天ぷらは脱水の料理法である。天ぷらの衣をつけて揚げることは、蒸すと焼くを同時進行で進めることである。天ぷらの衣は空気と水と粉を1対1対1の配合で合わせたものをよしとする。油そのものがおいしいからこそ、揚げる料理が成立する。」
早乙女哲哉氏の天ぷら理論の一端である。これほどまでに、理論的に天ぷらを究めた人物はいないだろう。
その早乙女氏が門前仲町に新たに「みかわ是山居」を開いた。ここは氏の天ぷら人生の集大成といえる店だ。十代の頃から買い集めたという骨董品、美術品が店のいたるところに置かれ、座敷の扉も作家物の漆塗り、ふすま絵も美術家の手になる…。と聞くと、店の敷居が高いようだが、カウンターに座ってひとたび天ぷらを口にすれば、そのおいしさに緊張感も忘れてしまう。
最初に供される海老の天ぷらが圧巻である。衣はさくっと、しかも海老は中心部がレア。ねっとりとした甘さが舌に心地よい。
「おいしい!」と言葉にして伝えてみると、「はい。おいしいでしょ。おいしく揚げていますから」と自信に満ちた言葉が返ってくる。それが不遜に感じられないほど確かな味わいなのだ。
カウンター席の楽しみは、早乙女氏の天ぷら理論や素材話を聞けること。何をたずねても、即座に「これはこう、この季節はこれが」と、その広範な知識を披瀝してくれる。これがまた天ぷらを食べる楽しさをいやがうえにも高めてくれる。
「今どきの人は、海老の下ごしらえも知らないで、包丁で筋を切っている。あれではダメ」と、海老の下ごしらえをみせてくれた。
その手際の鮮やかなこと。手をくるっとひねっただけで、頭と背わたが同時にとれ、両手の中で包み込むようにすると、ぷちっと筋が切れていく。
粉ふるいを通して小麦粉をふり入れるリズムのよさ、油から立ちのぼるいいにおい、心地よく油がはねる音。店はまるで早乙女氏の舞台となり、天ぷらはその作品となる。いつしか緊張感も忘れ、早乙女ワールドの酔いしれるのだ。
海老をひと噛みしたときの前歯の愉悦と言ったらなかった。香ばしいのは勿論だが、もちゃっとしている。今まで知らなかった海老の噛み心地だ。中心はレアでオパールくらいには透明なのに、熱い。唇が次第にうっすらと油で湿っていく。だけど油っぽくない。不思議だ。食べるほどに舌にも胃にも清々しくなっていく。油が旨い。
最近、関西風だとか江戸前というのを通り越して、天麩羅が変わってきた。
アスパラガスを噛む。歯を押し返すような微かな弾力性は始めのうちだけで、こんどは果肉のほうから勝手に切れていく。皮の部分も芯も、そして胴体も穂先も同じ柔らかさになっていて、煮たのでも蒸したのでも焼いたのでもない弾力と旨さだ。アスパラガスの様々な味の要素が掘り起こされて、気が張っている。天麩羅にすることで、栽培されていたときよりももっと生な力が迸る。ねっとりとした鮮やかな香りがして、目に染みる緑の皮膜に包まれた薄黄色の芯から、アスパラガスの透明なジュースが朝霧のように滲んできた。見る間に膨れ上がって、したたり落ちる。アスパラガスにこれほどの演技力があったのか。そう思わせるのが銀座の「近藤」の不思議だ。素材を油で揚げるだけでなく、油鍋の中でゆるゆると素材を変容させるのが新しい天麩羅なのだ。うっすらと胡麻の香りを残した油鍋の中では、ご主人の技術と油との、一体どんな秘密が繰り広げられているのだろう。

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