ごま油は健康に良いといわれる理由をご存じですか?本記事では、セサミンをはじめとした抗酸化成分や不飽和脂肪酸、栄養効果をわかりやすく解説します。
栄養豊富なごま・ごま油
ごま油は、古くから健康に良い油として親しまれてきました。その一番の理由は、セサミンやセサミノールなどの抗酸化成分が含まれていることに由来します。これらの成分には、体内で発生する活性酸素を抑え、細胞の酸化ストレスを軽減する働き等、多くの機能が確認されています。さらに、ビタミンEや必須脂肪酸も含まれ、生活習慣病予防や美容にも役立つといわれています。
ごま油の特徴
ごま油にはごま特有の「ゴマリグナン」という抗酸化成分が含まれています。
ゴマリグナンには、セサミン、セサモリン、セサミノール、セサモールといった種類があり、
ごま油の中におよそ0.5~1%ほど入っています。
市販食用油貯蔵中の劣化(重量方)
ゴマリグナンによって得られる最大の恩恵は『酸化に強い』ことです。一般的に、食用油は空気や光に触れることや加熱により酸化し、風味や品質が劣化します。しかし、「セサモール」や「セサミノール」等が強力な抗酸化作用を発揮することで油の酸化を防ぎます。このため、ごま油は長期間保存しても風味を保ちやすく、調理時にも安定した品質を維持できます。
「活性酸素」と
「抗酸化物質」について
活性酸素と抗酸化物質の働き
活性酸素は、体にとって悪いものというイメージがありますが、病原菌から体を守る働きがあるため、実は適量なら役に立ちます。しかし、活性酸素が多すぎると、体を酸化させてしまい、老化や生活習慣病の原因になると言われています。
そこで活躍するのがセサミンをはじめとした「抗酸化物質」です。お茶に含まれるカテキンや、赤ワインに含まれるレスベラトロールといった「ポリフェノール」が抗酸化物質として有名ですが、実はゴマリグナンもポリフェノールの一種に数えられます。抗酸化物質は、余分な活性酸素を取り除くはたらきをする成分です。また、ごま油にも含まれる「ビタミンE」も強い抗酸化作用を持つことが分かっています。
ごま油特有の成分
「ゴマリグナン」のはたらき
ごまは、種子の状態で長期間保存しても発芽率が高いことや、ごま油が高温調理でも劣化しにくいことが広く知られていました。こうした特性に着目した研究により、ごま特有の成分「ゴマリグナン」が明らかになりました。
脂溶性のセサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールに加え、水溶性のセサミノール配糖体やピレジノール配糖体などがあります。
セサミンは、ごまに最も多く含まれるゴマリグナンで、肝臓における活性酸素の除去能力が高いことが報告されています。また、アルコール代謝の促進、コレステロール合成・吸収の抑制など、さまざまな作用が研究されています。
さらに、ごま油は製造工程や体内でさまざまな成分に変換され身体に良い影響を及ぼします。
胡麻油中の特有成分の含有量(mg/100goil)
| セサミン | セサモリン | セサモール | セサミノール | トコフェロール | |
|---|---|---|---|---|---|
| 生搾り胡麻油 | 200〜400 | 0 | 0 | 80〜100 | 20〜40 |
| 焙煎胡麻油 | 400〜800 | 200〜400 | 5〜10 | 0 | 30〜50 |
セサモリンは、ごま油の製造工程や体内で、強い抗酸化性を持つセサモールやセサミノールに変換されます。セサモールは脂質の過酸化抑制や酸化防止に寄与し、焙煎ごま油の色のもととなる褐変物質やビタミンEとの相乗効果により、酸化安定性を高める要因となっています。
セサミノールは、生搾りごま油(太白胡麻油)の製造過程でセサモリンから変化し、セサモール同様に脂質の酸化抑制に関与します。体内では、水溶性のセサミノール配糖体が、腸内細菌によって分解されることでセサミノールとなり、酸化ストレスの低減に働くと考えられています。
セサミンの機能性
- 抗酸化作用
- 血圧の安定
- 老化防止
- 脂肪酸の代謝促進
- 血中LDLコレステロールの低下
- 肝機能改善(アルコール分解促進)
- 免疫力増強(アレルギーの抑制)
脂肪酸のはたらき
体のエネルギー源として機能する脂肪酸
脂肪酸は、体の中でとても大切なはたらきをしています。まず、体を動かすためのエネルギー源として機能し、生命活動に必要なカロリーを供給します。それだけでなく、細胞膜や核膜、ホルモンの構成成分として、体の基本的な仕組みを支えています。また、皮下脂肪として体内の臓器を保護し、寒さや外部からの物理的刺激に対するバリアの役割も果たします。さらに、ビタミンA・D・E・Kといった脂溶性ビタミンを体に取り入れるのを助ける力もあります。このように、脂肪酸はエネルギー供給から細胞構造の維持、保護機能、栄養吸収まで、多方面で重要な役割を果たしているのです。
また、脂肪酸のうち、リノール酸やα-リノレン酸などは、生命の維持に不可欠であるにも関わらず、体内で作ることができず食事からとる必要があることから、「必須脂肪酸」と呼ばれています。
- 一価不飽和脂肪酸
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一価不飽和脂肪酸は、オメガ9系脂肪酸とも呼ばれる脂肪酸のグループです。構造的には炭素鎖に二重結合を一つだけ持っており、そのため物質としては二重結合の無い飽和脂肪酸(バターやラードなど、常温で固形のもの)と比べてやや不安定です。
一価不飽和脂肪酸はオリーブオイルや菜種油、アボカドなどの植物油に多く含まれるほか、タラ肝油やイワシ油といった魚油にも見られます。
代表的なものとして、オレイン酸はオリーブオイルの主成分として特に有名で、悪玉コレステロールの抑制・善玉コレステロールの維持や、心血管の健康維持に役立つとされ、地中海食の中心的な脂肪酸として注目されています。
尚、体内で合成できる成分のため、「必須脂肪酸」には含まれません。
- 多価不飽和脂肪酸
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多価不飽和脂肪酸は、オメガ3系やオメガ6系脂肪酸に分類される脂肪酸のグループです。構造的には炭素鎖に二重結合を複数持っており、そのため不安定で酸化しやすいという特徴があります。常温では液体で、体内ではエネルギー源として使われるだけでなく、細胞膜やホルモンの材料として重要な役割を果たします。
この脂肪酸は、魚油(イワシ、サバ、サンマなど)や亜麻仁油、えごま油、ひまわり油、大豆油などに多く含まれています。代表的な成分には、オメガ3系のα-リノレン酸、EPA、DHA、オメガ6系のリノール酸、アラキドン酸などがあります。これらは体内で合成できす、食事から摂取する必要があるため「必須脂肪酸」に分類されます。
一価不飽和脂肪酸と比べると、酸化しやすいため保存や調理に注意が必要ですが、血流改善や炎症抑制、脳や神経の健康維持など、生命活動に欠かせない働きを持っています。
優れた脂肪酸組成のバランス
ごま油には、オレイン酸(オメガ9)とリノール酸(オメガ6)がバランスよく含まれています。この2つの脂肪酸は、どちらも体にとって必要な成分で、それぞれ異なる役割を持っています。オレイン酸は油の中でも酸化しにくい性質があり、リノール酸は体の細胞や働きに関わる重要な脂肪酸です。これらの成分は、どちらか一方に偏らず、バランスよく摂ることが望ましいとされています。
ごま油は、ごま特有のゴマリグナンのおかげで酸化にも強く、様々な調理方法に適しているため、毎日の食事に取り入れやすい食用油だと言えるでしょう。
ごま油
おすすめの摂取方法とレシピ
ごま油は炒め物だけでなく、和え物やドレッシングなど幅広く活用できます。ここからは、ごま油の栄養や風味を活かしながら毎日の食卓に取り入れやすい摂取方法とレシピをご紹介します。
定番の炒め物に
炒め物にごま油を使うと、香ばしい風味とコクが加わりいつもの一品がぐっと満足感のある味わいに。加熱調理にも使いやすく、毎日の食事の中で自然に取り入れられるのも魅力です。ここでは、主菜にも副菜にも使いやすい2品をご紹介します。
風味を生かして和え物に
和え物にごま油を加えると、素材の味を引き立てながら香りとコクで満足感のある一品に仕上がります。火を使わず手軽に取り入れられるのも魅力。ここでは、野菜や果物、チーズと合わせて楽しめる2品をご紹介します。
ドレッシングや調味料として
ごま油はそのままかけることで、豊かな香りとコクをダイレクトに楽しめます。酸味や香味野菜とも相性がよく、手軽なドレッシングやソースに使えます。ここでは、野菜や鶏肉をさっぱり味わえる2品をご紹介します。
お菓子作りに
ごま油はお菓子作りにも活用でき、しっとりとした食感や香ばしい風味を引き出してくれます。素材の味を活かしたい時は太白胡麻油、コクを出したい時は圧搾純正胡麻油など、仕上がりに合わせて選べるのも魅力です。ここでは、風味の違いを楽しめる2品をご紹介します。